いわさきちひろの絵画の温かみ
東京の練馬に幼いころから住んでいた私にとって、いわさきちひろの作品はとても身近なものでした。
というのも、いわさきちひろの自宅跡地に建てられた「ちひろ美術館」が近所にあったからです。
そこにはいわさきちひろ独特の温かみのあるタッチで描かれた絵画が飾られていて、幼い頃、何度も母親に連れてきてもらった夢の空間でした。
大人になって、長野の安曇野に仕事で行く機会があり、たまたま駅で見かけた「安曇野ちひろ美術館」のパンフレットを手に、仕事の合間を縫って訪れてみました。
いわさきちひろの絵をまじまじとみるのは子供の時以来。
安曇野ちひろ美術館は、いわさきちひろの母の実家である松本で、戦時中にいわさきちひろが疎開し、また息子を東京で育てる環境ができるまで預けたなど、いわさきちひろに縁ある土地に建てられました。
そこには、子供の頃にみたときにはわからなかった、戦争や、政治、思想、そして出産など、その時代を生きた、いわさきちひろの生きた証しがありました。
それを感じることができた分、単に温かい、やわらかいタッチというだけではなく、子供たちを描いた絵画の数々がより深いものにみえたかもしれません。
みる人によって不思議に変容する温かさを持ったいわさきちひろの作品群。
ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。